GOLD STANDARD
通常、パイロットの審査においては高度が±100ft以内だとか進入速度が+5kt〜-0ktだとか定量的な基準が審査実施細則により定められており、その範囲に入っていれば合格なのですが
それ以外にNOTECHS (= Non Technical Skills :技量と関係ないCRM的要素)も評価されます。
会社によって異なりますが、日本の会社だと
COGNITIVE SKILL
とか
INTERPERSONAL SKILL
とか
ATTITUDE
なんかがあり、それぞれに3〜6つの評価要素が含まれていています。
ここで問題なのは、これらの評価要素が客観的じゃないってことで
特に状況判断や協調性、リーダーシップなんかは審査官によって大きく評価が変わってきます。
このNOTECHSに関しては絶対的な基準がないんですから、当然のことです。
けどこの「あいまい」な評価要素によって不幸にも審査不合格になるパイロットがいるのは事実で、
じゃあこの「あいまい」な評価要素のベンチマークをつくろう!
という発想で始まったのが
「GOLD STANDARD」
です。
日本人パイロットの私には初めて聞く言葉でしたが、ヨーロッパ各国の経験豊富な審査官100名が集まってビデオ撮影されたコックピットでの訓練風景を見て全員でその訓練の評価(NOTECHSに限って)をつけてベンチマークを作成し、その完成したものがこのGOLD STANDARDです。
今回の訓練では、その時に使用されたものと同じビデオをいくつも見て、それぞれの訓練の評価をつけました。
評価をつけた後に、生徒それぞれがそれをコメントと共に発表して最後にその評価がGOLD STANDARDと同じか、それともどれだけ違っているかを見て、より自分の評価基準をGOLD STANDARDに近づけるという目的なのですが、
最初の1本目、2本目の訓練ビデオでは生徒それぞれの評価がバラけていたのに、最後の方ではみんなの評価がある程度同じになってきました。
この訓練、効果絶大なようで今回の訓練で一番印象に残った訓練となりました。