4年ぶりのアムステルダム
ログブックを見てると、最後にアムステルダムに飛んだのは以前働いていた航空会社で勤務していた時なので
転職してから初めてとなります。
天気予報を見ると、到着時は雨で若干風が強くなる予報。
ディスパッチャーは到着時の飛行場混雑を予測して15分ほどの燃料を余分に搭載するようにアドバイスをくれました。
自分の過去の経験?というか何となくというか、、、この時、直感的に15分じゃ足りないだろうな〜と考え
更に30分間、上空で待機できるだけの予備燃料を要請し、
合計45分間待機できるだけの予備燃料を搭載して出発しました。
ほとんどのキャビンクルーはアムステルダムに行くのが初めてらしく、
ちょっとテンション高め、
既にレッドライトエリアに遊びに行く計画をしている人達も。。。
出発後、飛行機は順調に飛行
アムステルダム到着2時間くらい前にキャビンクルーがコックピットに入って来て
キャビンクルー「アムステルダムの天気はどんな感じ?夜、みんなでディナーに行かない?」
私「ちょっと待って、いま天候を確認するから」
データリンクで天候を確認すると、予報が悪化していて到着時は嵐。(・_・;)
私「残念ながら、出かける以前の問題が、、、、天気予報を見るとアムステルダムはすっごい嵐だよ。」
キャビン「え〜っ」(´・ω・`)
とにかく風がすごい、、、、風速121km/hって、、、かなり強い台風レベル。
ガッカリしながら帰っていくキャビンクルーを見送りつつ
代替飛行場のデュッセルドルフの天気を確認すると、風は強いもののアムステルダムよりは良い感じ。
ということで、訓練生にもしもの場合はデュッセルドルフに行くことを伝え、降下進入の準備を開始
アムステルダムに近づき、管制官と通信設定すると案の定、空港は大混雑。
アムステルダム上空で約30分間待機して下さいとの指示が、、、、
あ〜、45分の予備燃料を積んでいて良かった〜、、、とほっと一息つきながら待機していると
強風のため、一時的に空港が閉鎖され再開は未定との連絡。。。。
仕方がないので、あと20分待ってみて空港がオープンしなければデュッセルドルフに行く意志を訓練生に伝え、
デュッセルドルフまでの飛行計画準備をさせました。
結局、10分後に空港は再開し、待機開始から35分経ったあたりで管制官から進入継続の指示がでました。
ただ進入を開始するも風が強く
右斜め前から120km/h、、、65KTの強風が吹き荒れ
機体は木の葉のように舞っていました。
先行の飛行機は着陸できたり、できなくて代替飛行場に行ったり。。。
最終進入に入るも風は収まらず、飛行機はじゃじゃ馬のように暴れていました。
冷静に操縦するもコントロールできる範囲を超えてしまっているので、結局対地700ftで進入を中止
上昇しつつ燃料を確認するともう一度、進入できるだけの燃料があるので
再度着陸を試み、もしダメな場合は進入を中止してそのままデュッセルドルフに直行する旨を管制官と訓練生に伝えました。
管制官からは「最短コースで誘導します」との返事。
2度めの着陸進入、、、
風の状況は変わりませんが、前回の進入より飛行機が安定していて十分に機体をコントロールできるレベル。
先行の飛行機も無事に着陸している様子、、、、
心の中ではいつでも進入を中止して着陸復行できる準備をしながら進入を継続。
いつでも中止しようと考えながら、無事に滑走路に接地することができました。
着陸してゲートに到着し、荷物を片付けお客様を見送っていると
皆様から「GOOD JOB!」( ´∀`)b
中には一緒に記念撮影して下さいって方も、、、、、
その後、我が社の地上係員に挨拶すると
地上係員「エミレーツのA380が木の葉のように舞っていて見ていて怖かったわよ!」
私「いや〜、かなり風が強かったですから」
地上係員「あなた達の直前に着陸したKLMなんて着陸直前に傾いて、見ている私達が悲鳴を上げたのよ!」
私「それは大変だったですね〜」
係員の人達が言うには、記録上100年ぶりの最悪な嵐なんだとか、、、、
そりゃー、雨と風が吹き荒れるはずだ。
ホテルにチェックインしてテレビをつけると、ニュースはもちろん天気のことばかり。
Fiercest July storm ever causes Dutch transport chaos
で、Youtubeには恐らく我々より先に着陸したKLMの映像が、、、、
いや〜、これは着陸やり直しでしょ。
とにかく、無事に着陸できてよかったです。
もちろん、キャビンクルーの皆さんは到着後、観光に行けるわけもなく、、、大人しくホテルで過ごしたそうです。